本編でギリありそうなエルキノシリーズ

【キノの不備 本編でギリありそうなエルキノ】
「このままじゃ宇宙のもずくになっちゃうよキノー!」
「藻屑になりたくないなら少し黙っていてねエルメス」
「宇宙規定で墜落時はアラームになる義務があるから無理! 物理で口でも塞がれない限りね!」
「よし、溶接するか」
「黙るね!」


【キノの旅 本編でギリありそうな範囲のエルキノ】
おばちゃんに「ペットを飼うと結婚出来なくなるわよ」って懇々と言い聞かされてうんざりしている妙齢の女性と目が合ったキノが「モトラド持つよりマシでしょ」って反論材料に使われて怒ったと思いきや納得しながらエルメスのところに帰ってくる場面。


【キノの旅 本編でギリありそうな範囲のソウフォト】
「ねえソウ、モトラドを持つと結婚できなくなるってホント?」ってフォトに聞かれて「急がなくはなるだろうな」って答えてから『フォトの相手が嫌がったらオレは潔く身を引かないとな』って考えているソウの場面。


【キノの旅U ゲーム本編ではなさそうだけどあとがきでギリありそうなセイとジャン】
セイがそのうちに故郷かどこかで落ち着いて結婚するんだけど、ジャンはお嫁さんとはめっちゃ喋る。エルメスより喋る。
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【キノの旅 本編でギリありそうなエルキノ】(「美形たちの話」―Like for Like―)
 無駄こそが美しさだという国に行き、一応三日滞在したものの早朝すぐに出国したキノとエルメス。
「そりゃあ、美醜の基準は自由だよ? でも国民全員見事に口が悪い! 何回醜いって言われたか!」
「あれは……ちょっと参ったね」
「キノは綺麗だよ」
「ありがとうエルメス」
「顔立ちも端正だし、手足の長さも丁度いい」
「……」
「声も澄んでて、よく見ると可愛い。チラッ」
「……うん、嬉しいよ」
「キノさん? わかっててやってらっしゃる?」
 含み笑いをしていたキノはついに吹き出す。
「ごめんごめん、エルメスも格好いいよ」
「そうそれ!」


【キノの旅 本編でギリありそうなエルキノ】
キノとエルメスがやけくそでお互いの名前を叫んでいます。

実は直前に立ち寄った国では『名前を呼ぶ』ことが禁じられていました。
普段お互いの名前をよく呼ぶキノとエルメスは、三日間酷く喋りづらい思いをしてフラストレーションが溜まっていたのです。

長文バージョンと絵


【キノの旅 本編でギリありそうなエルキノ】
大事なものは箱に仕舞うという風習から転じて箱に仕舞えないサイズのものは何一つ大事にしなくなった国を出たキノとエルメス。
「ボクはねエルメス、大事にしきれないものでも大事にしたいと思っているよ」
「キノの気持ちはわかった。でも先に起こして」
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【本編ネタのソウフォト】『見た虚構―He is Still There.―』
 上手くピントの合った写真のように鮮明な夢を見ました。街で現像してもらったように色づいたその夢では――家に、赤が足りませんでした。
 玄関外側のドアノブは酷く冷たく、触れるのも億劫でした。

 それはきっと、帰る家を失った夢だったのでしょう。


【キノの旅 本編でギリありそうな範囲のエルキノ】
「この国では未婚が大変不名誉とされているんだが、何十年も女児の出生率が低くてね……女性の旅人さんには、報酬と引き換えに名前を借りることがあるよ」
「……ボクには関係ないですね」

「なんでしらばっくれたのさ、キノ」
「なんとなくね」

→まったく別の巻、まったく違うノリの巻頭口絵小話。
「今は祝祭の季節でね、新郎新婦だけを歴史的建造物に招待するんだ。今通ったモトラドは新婦だね」
「キノ、結婚しよう」
「やだよエルメス」
「おや、残念だ。歴史的な秘伝のケーキも振る舞われるんだが」
「エルメス、結婚しよう」
「よしきた」


【キノの日々 本編でギリありそうなエルキノ】
 森を訪れていた旅人とモトラドを見送ったキノとエルメス。
「エルメスは、誰か旅人に乗られて世界を走り回りたいと思わないの?」
「以前はよく考えたよ。キノもお師匠さんもたまにしか乗らないし、乗ったと思ったら運転荒いし」
「以前? じゃあ今は?」
「まあ、今みたいな日々が続くのも悪くないと思うよ」
「ほんと?」
 嬉しそうなキノに、エルメスは続ける。
「キノが髪に木の枝くっつけたまま走り回ってやしないか心配しながら旅するよりマシ」
 シートを派手にぶっ叩く音が森に響く。呼びに来た師匠が小さく苦笑した。


【キノの旅 あとがきにギリありそうなエルキノ】
「ここはツッコんではいけない国です!」
「わかったツッコまない!」
「……もし、国の中でツッコんだら……?」
「禿げます。モトラドさんはツッコミ放題です」
「やりぃ!」

 三日後、そこにはキノの頭髪を守るためにツッコミ疲れたエルメスが!
「エルメスはボクの髪型なんかどうでもいいと思ってた」(『帰郷』参照)
「流石に禿げたら悲しむでしょ」
「切りすぎもちょっと悲しいけどね」
「しょうがないなあ、次は切ってあげるよ」
「……」
「……キノ、もう出国したからツッコんでいいんだよ」
「楽しみにしてる」
「今日はツッコんでよ!」


「仲良しの国―Lie detector―」

 キノとエルメスが、ある国を訪れたときのことです。
「お二方は仲良しですか?」
 開口一番、呑気そうな入国審査官に質問されました。
 彼らは丁度そのとき珍しく大喧嘩をしたばかりで、
「……そうでもないです」
「ふん! 嫌いだ!」
 とそれぞれ答えます。
 すると入国審査官は顎に手を当てて言います。
「うちは和平を重んじる国でしてね。旅仲間と仲がよい旅人たちには国からのおもてなしがあるんですが…………まあ仲が悪いなら仕方ないですね」
 その言葉を聞いた途端、一人と一台はコロッと態度を変えました。
「本当は大好きさ、エルメス!」
「さっきは嘘ついてごめんね! 大好きだよキノ!」
 たいへん露骨でした。
 しかし入国審査官はにっこり笑って、その主張を認めました。

 キノとエルメスは、三日間の滞在中にさんざん素敵なおもてなしを受けました。
「いい思いをさせてもらっておいて何だけど、あの入国審査官さんはちょっといい加減だったね。目の前で急に態度を変えたのに、ボクたちが仲良しだって認めてくれちゃった」
 出国手続きが終わったキノが、城門脇の通路から外へ向かいながらこっそり言いました。
 エルメスもあまり大きくはない声で返します。
「まあいいんじゃない。あのときはたまたま喧嘩していたけど、仲が悪いわけじゃないんだから」
「それもそうだね」
 一人と一台はそう納得して、トンネルのような通路を抜けます。
 実は城門には嘘発見器がついていて、ちょっとでも仲を偽ったままなら入国を認められていなかったのですが――――旅人たちは、何も知らずに出国して行きました。

Twitterネタだしまとめるか迷ったので傑作選みたいな感じにしました。
最後のだけご本(※実現するかはわからん)のためにリライトしたやつです。見た虚構だけただの本編ネタでありそうじゃないやつ(何故入れたし)。

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