パニックホラーのストレス値が高いシーン(コンセプト)/鏡音の下り描きたかっただけのグダグダ馴れ合いSS

パニックホラーのストレス値が高いシーン(コンセプト)

 あの女の母親から連絡が来たのは、オフの日の土曜日だった。
『小夜と連絡が取れないのですが、ご存知ないですか?』
 知るか、というのが本音だったけど、俺にまで連絡が来るほど連絡が取れないというのは引っ掛かる。
 あの女の母親にとって俺は、休学中の娘に会いに実家まで来たことのある友人Aといったところだろうに。
「…………」
 いや、実家まで来た学友Aだと思われているとしたらそれはそれなりの関係値だと思われている可能性が高かったな。ちょっとイヤだ。
 しかし幸か不幸か俺は暇になりがちな謹慎中(笑)NewTuberだ。軽い気持ちで遠出を決められる。
『存じ上げません。様子を見に行きましょうか?』


 謹慎中に派手な動きをするなとブチ切れる氷室さんのほぼ悲鳴と、あいつに会いにわざわざ足を伸ばす俺にオモロを期待する智尋の檄(?)を背に新幹線に乗り込んで、俺は懐かしいあの女のアパートの前に立った。
 今思えば、あのときが一番楽しかったのかもしれない。調子に乗って失敗するほどには。
 少なくとも、ギンガと動画が作れたこと、一緒にいられたこと、ギンガのグッズに囲まれてああだこうだ言ったこと、全部を楽しくなかったことにするのは無理だった。
「明智さーん」
 ピンポンピンポンと普段の智尋よろしくチャイムを連打する。
 反応はない。まだまだ連打する。
 バイト先かなあとか考える間にもひとまず連打は止めないし、バイト先の連絡先を調べながらも片手間に連打する。
 ネット老人系NewTuberなら高橋名人とか言い出しそう。
 あの女のバイト先にコールを始めたタイミングで、ドアガード越しに鋭い猫目が現れる。
「……何」
 胡乱な目つき、寝癖頭に白い顔。あと気管支の変な音。
「エー……ふつうに風邪じゃん」
 つまらないオチに俺が文句を垂れると同時に、目の前のクソ女のバイト先と電話が繋がった。
『はい、DOUL' MICH…………店です』
「貸して」
 クソ女の無駄に熱い手が俺の手首を掴んで
「うおっ」
 ドアの隙間に引きずり込んでくる。痛え。力強。
「お疲れ様です。明智です」
 手には青筋を立てているのに器用によそ行き声(ガラガラ)を出すクソ女とそのバイト先の人間が、そのまま会話し出す。何これ。
『小夜ちゃん! 大丈夫? 風邪? 電話も出ないし、心配してたんだよ』
「すみません店長。無断欠勤になってしまって……。ロッカーにスマホを忘れたみたいで。……たぶんただの風邪です。しばらくお休みをいただきます」
『うんうん。ゆっくり休んでね。今は繁忙期でもないし、来れそうになったらまた電話してね』
「はい、そうします。それでは」
『お大事に』
 ぷつ、と電話が切れたと同時に、クソ女の糸も切れた。俺ごと引きずり下ろすように座り込む。
 ドアガードに乗り上げた腕を無理やり下げられてめちゃくちゃ痛い。
「離して。つかドアガード外せ」
 俺が手を振りほどいて自分の手を抜くと、ガチャリと静かにドアが閉まる。
 そのまま永遠に開かないかと思ったけれど、意外なことに、クソ女は素直にドアを開け放った。
「正直、助かったけど、何の用?」
 言われてから気づく。
 暇を潰せるおつかいに飛びついただけで、何の用でもないな、俺。


「……うん、心配かけてごめんなさい。大丈夫。……うん、バイト先には連絡した。……そう、箕作さんのスマホ借りてる。来なくていい。…………わかった、明日来て。うん。じゃあねお母さん」
 俺のスマホで通話するクソ女と一緒に座り込んでいるのは、あの日と同じく、リビングのような役割の空間の床。今日は隆文さんがいないから、ソファは空っぽだ。
 母親との通話を終えたクソ女は、顔に業腹と書いたまま俺にスマホを差し出してくる。
「……スマホ、借りて悪かった。でも来んな。本当に何で」
 俺は病人の汗がついたそれを受け取ってハンカチで拭きながら答える。
「言っただろ。お前の母親から連絡来たから、野垂れ死んでるんじゃないかと見物に来ただけ」
「その……っ」
 そのためだけに? とでも言いたかったんであろう風邪引き女は途中で激しく咳き込む。
「じゃあまだ残ってるギンガグッズを寄越せ」
 俺がどさくさでカツアゲしにかかると、担降り人間は無言で首を振る。もう持ってないのか俺になんか渡したくないのかはわからない。
「……お、お前が来ると、余計厄介なことになる」
「あ?」
 涙目のそいつの言い草に、俺は反射で苛立ちを表明する。意味がマジでわからんのもある。
 と、そのときだ。
 ピーンポーン。ピンポンピンポンピンポンピンポン。ドンドンドンドンドン。
 チャイムとノックが鳴り出す。
「明智さん、いるんでしょ? 電気メーター動いてるからバレバレ。出てきてよ」
 ピンポンピンポンドンドンピンポン。
 幼さを演出することに慣れきった女の子の声と、それに不釣合いな音の猛襲。どう考えてもリア凸者だった。誰のガチ恋だ?
「うるさっ……」
 俺が呟いて、玄関に向かうために立ち上がろうとすると、血相を変えた明智さんが俺の手首を勢いよく掴む。
「やめて。お前は静かにしてて」
「は?」
 囁かれた言葉に、一応小声で返す。
「お前のガチ恋だったらどうする。もっと面倒なことになる」
「…………」
 言われて、今度は押し黙った。氷室さん今度こそ抜けちゃいそうだし、こいつは今度こそ引っ越すことになる気がする。
 そんな話をする傍から、ドアの外にて答え合わせが発生した。
「なんであんたがみーくんと仲良しなの!」
 語彙が思いのほかかわいいな。仲良して。
 でも、ドンドンピンポンはうるさい。
 そんなタイミングでレトルト食品が突っ込まれていた電子レンジが甲高く鳴る。
 そして、チャイムとノックは一瞬だけ静まり返り、余計うるさく鳴き出した。
「どうするよ」
 俺が家主の方を向くと、そいつは口を押さえたまま蹲り、空気の塊が喉を通る不細工な音を合図に思い切り嘔吐した。
「ええええっ」
 思わず後ずさる。目の前の病人は、咳とゲロであっという間にぐちゃどろになっていく。
 と、俺のスマホのバイブが鳴り出す。智尋からだ。うっかり出てドアの外まで聞こえる大声で喋られたらダルいので出れない。かといってこっちから切っても後で面倒で、バイブを鳴らしっぱなしにする他なくなる。
 その間にもドアの外の女の子は泣き喚き、電子レンジはスヌーズでピーピー鳴り、明智小夜は喉も内蔵もひっくり返しそうに何度も痙攣を繰り返す。
 なんだこれどうすりゃいいんだ。
「おいクソ女、これ……」
 ひとまずは、吐く物もなくなったのに|嘔吐《えづ》く女の傍に半歩だけ、ぶっちゃけ汚いから戻りたくないけど一応寄って、雑に背中を擦る。
 咳すら無理にこらえた背中は、はりつめて、微かに震えていた。
 吹きすさぶ雑音の嵐を前に、身を固めて耐えるしかない状況。
 いつになく小さくなる背中を前に、なんとなくだけど、絶対そんな場合じゃないんだけど、少し想像する。

 暴発しそうな恋を抱き潰してまんじりともせず夜をすごすときのこいつも、こんななんだろうなって。

 俺のアホらしい考えに同調するように、外の女の子はギンガに言及しだす。
「あんた本命メガネなんでしょ。なんで、なんでよ……あいつと繋がれなかったから代わりなの? なんで……ッ」
 随分傷ついているようだけど、ギンガのことだけは言ってほしくなかった。なのに、無情にもギンガの話題は続く。
「…………」
 俺は、声に出そうな感情を溜め息の中にいなして、同じ相手への恋に敗れた女の髪を両手で掻き分ける。手にゲロついて最悪だけど引っ込めない。
 そいつも抵抗しない。それどころじゃないからだ。
 だから俺は無事冷たい耳たぶを両側に見つけて、そのまま手探りで耳の穴も見つけ、耳珠を押さえて親指でギュッと塞ぐ。
 あーもう、何もかもうるさい。“自分と同じ”ガチ恋の暴走と涙声が謎に耳に痛い。誰か俺の耳も塞いでくれ。
 やらかしたなあ。ここに来たことも、こいつを貶めるためだけにネットで呟いたのも。
「……………………ごめん」
 真っ黒い頭頂部に向けて、誰にも聞こえないように口にした。


 その後、電子レンジは比較的すぐに黙り込み、ガチ恋ちゃんは五分くらいでご近所さんに怒鳴りつけられて退散し、智尋からの鬼電は一度出て事情を話して切り、家主は少し落ち着いてソファに丸まっている。
 俺はゴム手袋やら掃除用具の場所を聞き出して床を片付けて、やっと座れたデスクチェアに凭れる。
「つかれた〜。おい、親呼ぶか?」
「……いい。お前も帰れ。一人にして」
 ぐったりした女子大生のガキの主張は華麗にスルーして、俺は会話を続ける。
「しっかし、お前には頑丈なイメージしかないから寝込んでゲロ吐くとか衝撃だわ。てかなんで現代人がスマホ忘れられるわけ? HZの動画まで見るくらいだし、移動中とか動画見るだろお前」
「………………」
 無言で顔を覆われた。
 一拍遅れて理解する。ギンガの動画や配信を見なくなったことで、スマホに割いてた意識がごっそり削れたのか。
 そういえば、と思い、机の上に放置されていたタブレットの電源を無断で押す。予想通りうんともすんとも言わない。充電切れだ。いつからこうなのやら。
「……腑抜けてんなよ」
 独り言のように漏れ出た言葉には、姿勢を変える衣擦れが返ってきた。……ワ、ごめん寝してる。
 仕方がない。俺は梯子も登れないほど体力死んでる家主(猫)の代わりに、ロフトに登って寝床から掛け布団を確保する。壁の日焼けしてない長四角の場所には、かつてはギンガの写真が飾られていたんだろう。
 丸まった死体、じゃなかった肢体(?)に布団を掛けてやると、顔を出さないままの中身が実に嫌そうに口を利く。
「ありがとう。でもお前に世話されるなんて、気持ち悪すぎる」
「俺だって散々お前に世話されてる。おあいこだと思っとけ」
 折角持ってきてやったのに、と腕を組んで床に胡坐で落ち着きながら俺が言うと、真ん丸になった目が布団の端から出てくる。
「世話焼かせてた自覚あったのか」
 俺は布団を頭のてっぺんまで引き上げた。
「うるせえ寝てろ」
 そして、勢いのままに頭がある辺りをぼふぼふ叩く。
「あと俺は謹慎中だけどHZの企画は動いてるしお前が好きそうなのも色々上がる予定あるから見ろ上げたらすぐ見ろつまんなかったら速攻閉じていいから」
 柄じゃないことしか言ってない自覚はあるから早口で、布団を叩く音にかき消えるように願いながら一気に言い切る。言い切ってから、布団の叩き方を寝かしつけ用の弱いものにする。
「………………」
 黙っているけど、布団の中身が頷いたことが分かった。
 罪悪感でも、同情でも、ましてや友情でもないけど、俺はなけなしの優しさをこいつに使いたかった。
 いや自分で自分が気色悪いな。なんでだろう。どれほどの想いで大人しく過ごしているのか、その一端に思い至ってしまった気がするからだろうか。
 でも、だけど、だから……俺は、小夜が眠りにつくまではずっと撫でていることにした。



 俺が帰る頃には陽が沈んでいたので、それまで放置されていた電子レンジの中身がどうなっていたかはちょっとここには書かないでおこう。


鏡音の下り描きたかっただけのグダグダ馴れ合いSS

 いくらウィッグを被って顔を誤魔化しても、すぐにわかる相手というのは存在する。
 それがこいつなのはどうにも腹立たしいが。
「この5号のケーキください。プレートは『れんくんおたんじょうびおめでとう』で」
「…………てんちょ」
「辞めるな辞めるな」
 バイト先に箕作が現れたのは、丁度十月二十二日、箕作の誕生日の夕方だった。
 誕生日男の態度は、まるで毎日会う人間同士の『昨日の続き』のように軽やかだ。
 私もムキになるのがバカバカしくなって、粛々と残り時間の勤務を終わらせる。
 どうせ箕作が私の上がりを待つのはわかっていたからだ。何故を問われても私にもよくわからないけど、こいつのことならある程度はわかる。
「で、何」
 案の定私が着替えて出てくるのを待っていた箕作に言うが、箕作はなんでもなさそうな態度だ。
「べっつにー。誕生日ケーキ食いに来ただけ」
「…………」
 わざわざ? なんて言っても多分暖簾に腕押し。黙って通報した方がいいのかもしれない。……けど、今の私にはこいつに借りがある。
 まあ、幸いにも今日のこいつはテイクアウトにしているようだし…………ん? でも、『食いに来た』?
 私がはたと顔を見ると、箕作が我が意を得たりとばかりに犬歯を見せて笑う。
「ということで、お前んち行くぞ」


 あのときの「さようなら」が宙に浮き微妙な縁が続いてしまっているのは、自分のせいでもある。
 私がバイト先にスマホを忘れて帰宅する→寝込んで誰とも連絡つかなくなる→お母さんが私の友達だと勘違いしていた箕作に連絡する→何故かあいつが来て看病していく――なんてよくわからない出来事があったのは、半分私のせいだ。
 私のお母さんとちゃっかり連絡先を交換した上にわざわざ家に来たのは箕作がおかしいから、私だけのせいではないけど。


「俺紅茶がいい。砂糖多めで」
 当然のように私の家のソファに陣取った箕作が寝言をほざくので、私は自分のコーヒーのためのお湯を沸かしながら言い返す。
「水でも飲んでろ」
「コーヒーでいいから」
 チッ。舌打ちが出た。紅茶は切らしていたし砂糖もあるかあやしかったが、コーヒーならあるのだ。
 不承不承にもう一つカップを出して、二つ淹れたコーヒーをテーブルに出す。
「ブラック? 砂糖とかミルクは?」
「ない」
 普通の牛乳なら切らしてなければあったが、ポーションミルクと砂糖は元々ないことも多い。
「というか退いて。私がソファ使う」
「いーじゃん、一緒に座ろっ」
 箕作は隣に脱ぎっぱなしだったウィッグを鞄に仕舞いながら席を詰める。
 一応成人している男女といえば成人している男女のはずなのだが、なにも気にしていないようだ。
 私もそこはどうでもいいが、近寄りたい相手でもない。だから箕作の横には、なるべく離れて腰掛ける。
 箕作はそんな私を意に介さず、ケーキの箱を開けて、
「あ、ナイフとフォークも貸して」
 とかほざいてくる。
 私は乱暴にフォークと包丁(ケーキナイフなんか家にない)と取り皿をテーブルに置いて言う。
「食べたら帰って」
「泊まってけとか言わんの?」
「ハウス!」
 本当に帰ってほしい。自分の中に馴れ合いのような親しみのような気持ちが残留していることも踏まえて、余計に、本当に。
「というか、本当になんでここに? 誕生日を祝う相手なら他にもいるだろ」
 私が言うと、箕作は包丁でケーキを切り分けながら涼しい顔で言う。
「今の俺にはグルのメンバー以外で一緒に祝う相手もいないし、ネモとヴィクターは『ミツクリの誕生日を一切祝わず二人だけで豪遊する』って企画で……本人不在を証明するための長時間配信やってる」
 企画の配信は少し見たけど、
「バカなの?」
「バカだろ」
 私の簡潔なディスに、箕作は嬉しそうに言う。グルへの愛着が見えたようで、こいつとHZの作品を楽しんだことのある身として少しだけほっとする。
「で、レンくんはリンちゃんに会いに行ってきますって言って出てきた」
「誰がお前と鏡音なんかやるか!」
 聞き捨てならない言葉が続いたので思わず突っ込む。
 私が嫌がるから楽しくなってきたのか、箕作の横顔が露骨ににっこにこになってきた。
「ケーキが切れたよ、リン」
「似てないからやめろ鳥肌立つ」
 誕生日の蝋燭に火をつけることもなく風情もなく、私たちはなんとなく手を合わせてケーキを食べ始める。
 と、箕作がチョコのプレートを摘んで言う。
「いいよねこれ。字も綺麗だし、星だの土星だの描き足してくれる店員さん優しいし」
 純粋に気持ち悪いだけの誉め言葉に、私が黙ってフォークを進めていると、箕作は突然手のひらをこちらに向けてくる。
「あ、そうだスマホ見せろ」
「嫌。何。怖い」
 率直に拒否する。意味不明で悪寒が走る。でも、
「ギンガ断ちしてからスマホの管理無茶苦茶だったでしょ。ちゃんと充電して持ち歩いてる?」
 箕作が続けた言葉で真意がわかると、まともに取り合わなくてはいけない錯覚に陥ってきた。
「勿論」
「ならいい。連絡したけど既読つかないから未だにスマホなくしてんのかと思ったわ」
「お前のLIMEをブロックしているだけ」
 箕作は「うん」とケーキを口にしながら少し嬉しそうに頬をほころばせる。
 素直で不気味だ。でもこいつが嘘をついたり暴れたり話をコントロールしようとしたりしなければ、結構話しやすいとも思う。
「てかここのケーキ結構美味しいよね。俺これ普通に気に入っちゃった」
「東京に店舗あるからそこで買え」
「俺ここしか知らないしなぁ」
 無駄にテンポよく会話が成立してしまう中、私は充電残り8パーセントのスマホを取り出して箕作のLIMEのブロックを解除してバイト先店舗一覧の東京のページURLを送ってまた箕作のLIMEをブロックする。
「ここ行け」
 そして、大きい一口で自分の皿のケーキを減らす。
 私が咀嚼していると、きょとんとスマホを見ていた箕作が突然声を上げて笑い出す。
「俺、小夜のそういうとこ結構好き」
 耳を疑う発言まで飛び出す。私はケーキを飲み込み切る前なのに思わず素っ頓狂な声を発してしまう。
「はい?」
「あ、人としてね。恋だのは今のとこあの人だけ」
 補足は飛ぶが、私はケーキを飲み込み終わってから言い返す。
「……私は嫌いなんだが」
「そこも込みで」
「無敵の人!?」


 箕作は意外にもケーキを食べ終えると素直に帰った。
「じゃ、さようなら」
 玄関先でそう手を振ったけれど、私にはわからない。これが本当の最後なのか、腐れ縁が続いてしまうのか。
 ただ、一つ、感覚でわかってしまったことがある。
 私たちは、どこまでいっても結局、お互いの存在を忘れることだけは一生ないんだろう。と。



 ……翌年の私の誕生日に高価なプレゼントが配達されてきたのが怖すぎてまんまと箕作に連絡を取ってしまうのは、また別の話。

実際どうかなーとかを半分手放しにして手癖で書くことを自分に許したミツ小夜です。

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